最近、暖かくなった・・・というより暑いくらいの陽気
部屋でボーっとしているといつの間にか寝てしまう初老 長谷部信彦
成長期でもないのになぜこんなに寝ることが出来るのかと思うくらいだ
「ちょっと・・・」
珍しく嫁さんが話しかけてくる
「・・・なに?」
「ビールとか買いに行くの?」
「行くと思うけどなんで?」
「いや・・私買い物行こうと思って・・別にいいんだけど・・歩いて行くから別にいいんだけど・・
でも今日、お米買わなきゃいけないし・・重いんだよね~・・いや別にいいんだけど・・・私
歩いて行くから・・・」
「・・・・・・・・」
なぜ、買い物行くから乗せてと素直に言えないのか?
そんな気持ちを飲み込みながらスーパーに向かう・・・
店内をブラブラと徘徊し菓子パン65円の特売コーナーを見つける
「おお~安い!」
と、驚くと同時に少し複雑な気持ちになる
「大変だろうな・・・」
以前、菓子製造に携わっていた人間にはこの安売り安売りの流れに
対応しなければいけない企業の人達の苦労が少なからず分かるのだ。
考えてみて欲しい・・・ひとつ65円で売られているパンを作る為の原料
それを製造、加工、そして包装、梱包さらに、車での配送
そのすべての工程にかかわる人達への費用・・・・
このパンは、いったいいくらで納品されているのか?
パンに限らずゼリー、ポリドリンク、など安売りされているすべての物
企業努力といえば聞こえはいいが実際にはかなりキビシイ現実がある。
百貨店など高級品を扱うところは別として通常のスーパーは
お客に喜んでもらうため少しでも安い物を望む
そこに売り込むライバル会社が多ければ多いほど限りある
棚のスペースをめぐり値段の下げ合いになり
企業は可能な限り安い原料を探し(もしくは原料会社に安くさせる)
産地表示、原料表示のグレーゾーンを最大限に活用し
さらに薄利多売、時には赤字覚悟で商品を収める
まさにジリ貧、ライバル会社との我慢くらべ・・・
おにぎり100円セールやポリドリンク10本入ひと袋100円以下で売られている
今の現状は、けっして普通ではないのだ。
とはいえ、そんな事を言ったところでこの流れは変わることはないだろう
実際、私自身少しでも安いパンを手に取ってしまう
小学生の頃、給食で出るパンがとても苦手で毎度牛乳で無理やり流し込んでいた
特に通常のコッペパンよりサイズが大きい揚げパンが献立表に載っている日は
本気で早退したい気分になる
あの油をたっぷりと吸い砂糖をまぶされたモンスターを見るだけで
私の胃は拒絶反応をおこした
当然、食べるふりをしながら机の奥やランドセルの中に押し込み退治してしまう
そして忘れかけた頃にカチカチの化石状態になって発見される・・・
と、いったような過去の過ちを毎朝菓子パンを頂きながら詫び
作ってくれた人達に敬意をはらう
何気なく手にした安売りされている商品にも
関わるすべての人達の血のにじむ様な努力があるという事・・・
少しだけ・・・ほんの少しだけ・・・思いを馳せてもらいたい・・・。
「あ~暑い、この車狭いし暑すぎる・・・静電気が凄い!ドアに触るのが怖い・・・
パチン!・・・痛!・・・ほら凄いでしょ!・・・もうなんなのよこの車!」
「・・・・・・・・・・・。」