最近、あのあれ、の使用頻度が著しい
咄嗟に物や人の名前が出てこないとき
ついつい、あのあれ、を連呼してしまう
この手の二人が交わす会話はそれはそれはひどいものです。
「ほら、この娘だよ!」
テレビを見ていた嫁さんが突然口を開く
「なにが?」
「こないだ言ったじゃない、あの人の奥さん」
「・・・あ~・・・誰だっけ?」
以前そんな会話をしたらしいのだが記憶にない
(スタートからこの調子)
「テレビによく出てる、あの~若い子」
「いや・・・だいたいみんな若いよ」
「いるでしょ!あのあれよあれ!ドラマとかもいっぱい出てる」
情報が薄すぎてわからん・・・
「ひょっとしてあの人かな?あれあのCMとかに出てる・・・
あれなんだっけ?携帯かなんかのあれ」
「たぶんそう・・・あれあれあの人」
・・・もう地獄絵図である・・・
こうして文字にすると、そのむごさがより一層際立ちます。
携帯を取り出し検索すれば答えが導き出されるのは分かっているのに
なぜか自分の負けを認めてしまう様な腹立たしさでそれを拒否して
自力で答えをひねり出そうともがき苦しむ
どうしてそこまで意地をはってしまうのか?
コンビニでの買い物をみても多くの人たちは
携帯をかざして会計を済ましている
今では現金など持ち歩く必要もない。
便利な世の中になったものだと改めて思うのと同時に
何かの不具合で機械が読み込まず会計が出来なくなり
あたふたするお客と店員さんを見て
ほら見たことか!
と、ほくそ笑んでいる自分にハッとしてしまいます。
心の奥底でこんな物に頼ってたまるか!振り回されてたまるか!
そんな嫌悪感を今もなお拭いきれていない
本当はこういったものを上手に利用したほうがいいのでしょうけれど
どうしても抵抗があるのです。
ましてや携帯に話しかけて操作するなど
顔が真っ赤になってしまうことでしょう。
新しいことがなかなか覚えられない・・・
というより覚えようとする気持ちが薄れている
これじゃいけないと焦ってジタバタしても仕方がない
きっとなるようにしかならないから
流れにまかせて苦手なことは無理をしないで
意地を張れることには意地を張る
名前が出てこず、あのあれを連呼して会話が成り立たなくても
その場で笑いが生まれればそれはそれでいい
ひそかにその状況を楽しんでいます。
長谷部