世の中は不思議なものです
技術の進歩は目覚しく
手のひらサイズの機械を待っていれば
知りたい情報はおおむね手に入り
欲しいものは何でも自宅に届けてもらえる
とても便利な世の中になりました
まさに至れり尽せりです。

おまけに頼んでもいないのに
「この方にメッセージを送らなくていいですか？」だの
「先週より動画を見る時間が増えました」だの
いらぬお節介まで焼いてくれます。

この環境があたりまえに生きてきた若い子と
たまに話しをするとなかなか面白い
ダイヤル式の黒電話など知らないし公衆電話すらあやしい
「・・ポケベル・・？」
「外出先で相手が連絡取りたい時にアラームが鳴るんだよ」
「はあ・・・で？・・・」
「いや、それで公衆電話見つけて電話する」
「マジで・・何すかそれ？」

その昔、瓶ジュースの自動販売機があった事も知らないし
ビニール袋に入っているいやらしい本
通称ビニ本の自動販売機の存在すら知らない
夜中人目を盗んで期待に胸膨らませながらボタンを押すと
ブザーがけたたましく鳴り響き
ガシャンと大きな音を立ててビニ本が落ちてくる
そのあまりの音の大きさに怯んでしまい
その場から逃げてしまうといったスリル
そして普段使うことのない脳細胞をフル回転させ
いかに見つからない所へ隠すことが出来るかというサスペンス
それを聞いてる若い子は当然あきれ顔・・・

それから数十年足らずで世の中がこんなになってしまうとは
夢にも思いませんでしたが
昔と比べて今がより快適かと聞かれると
返事に困ってしまうから不思議なものです。

この先どれだけ技術の進化があったとしても
生活の豊かさとなるものは、また別にある気がしてなりません。
無理に真面目に生きる必要はないし
正しく生きる必要もない
ただ手の届く範囲の人達だけでいいから
大事にしていくことが出来れば
それなりに生きていけるものです。
長谷部